どうやら娘からウイルスが感染したようで風邪でダウンしています。おかげで家族そろって鼻水を垂らした週末を送っています。Flu shot、つまりインフルエンザワクチンを既に接種済みなので心配はないのですが、来週の試験シーズンを目前にやや不吉な予感がします。
今学期は驚くほど成績がよくて、というのもファイナンスに特化して、苦手なマーケやマネジメントなどを全く取っていないからなのですが、脳内はファイナンスに完全に占拠されています。残念だったのが、前セメスターのリアルオプションの課題の結果が期待はずれでした。評価の高いレポートなら後々の授業で扱ってくれたり教授の教科書にケースとして取り上げてもらえるのですが、そこまでは行かなかった模様です。日本の電力事業、しかも原子力についてのオプション価値を算定したものなので、日本の特殊な規制緩和の状況についての説明不足から、幾つか前提条件に疑問符がついてしまったようです。
さてダウンといえば、ダウンサイドリスク。アメリカの株式市場は極めて効率的だとされていますが、サブプライムにもみられるように、極めてBullもしくはBearなマーケットにおいては誰もが感情的に動きやすいもので、例えば2002年までの3年間の株式市場の下落は、投資家心理を冷やして株から債券への流れを加速させました。冷静に考えれば、長期投資家である以上、株を売却して債券を持つことで、株式市場の反発によるメリットを享受することができなくなるわけで、それはそれでかなりのリスクです。
「敗者のポートフォリオ」によれば、1年のうちの数日間、マーケットの上昇日を逃しただけで、大きくリターンはマーケットに劣後するとされています。つまり、株を保有しないというリスクは大きいということ、またマーケットタイミングを計って利益を獲得しようという戦略のリスクも極めて高いということは、認識しておかねばなりません。
Equity Marketの授業で、こういった問題意識から、Low beta、plus-dividend-yield、Low PBRという3つのファクターでスクリーニングしたポートフォリオを作り、2001年からのリターンを計算してみました。つまり、Low betaということはマーケット下落時にはアルファを獲得できると考えられます。Low PBRについては、Value stockのほうがプレミアムがあると予想し、かつボラも低いと考えました。配当有にしたのは、比較的債券に近い動きをするのではという期待と、倒産リスクを軽減するためです。加えてTurnover ratioは年率20%、投資株式数は20とし、売買のタイミングは年末のみとしました。その結果がなんとこれ。
毎年、12%近くも市場リターンを上回っていることになります。もちろん偶然の結果でしかありませんが、よくよく分析していくと、やはりLow Betaが効いて、マーケットの下落時にプラスのアルファを獲得するポートフォリオとなりました。
こういった商品が現実にあれば、似通ったバリューファンドばかりの中で差別化できるかもしれませんね。投資家の抱えるリスクの90%は資産配分によって生じ、残りの10%はアルファのリスクだとされており、もし株式や債券と相関関係の低い新しい資産クラスを開発できれば、分散投資としてのメリットは大です。株式市場のダウンサイドに強く、そして債券と株式との中間的な動きをする資産があれば、ポートフォリオに組み込む価値があるかもしれません。REITのように。
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