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MBAから会社に復帰したサラリーマンのリハビリブログ

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サブプライム

2008/11/30(Sun)00:45

わずか半年前の話ではありながら、在学中、同級生の間にサブプライムの影響について悲観した雰囲気は感じられなかった。Big3やウォールストリートに就職した奴らの先行きについても、誰もがそれほど按じていなかった。それほど、この半年のマーケットの悪化は激し過ぎるものだった。

サブプライム問題に端を発した金融危機の原因については、書籍や記事などであれこれ論じられている。レバレッジにより信用が創出され過ぎたことや、複雑な証券化の手法によりリスクの所在が見えなくなったこと、ヘッジファンドを中心に行われた円キャリートレードによりマネーサプライが増大したこと、グリーンスパンの金融政策が住宅バブルを引き起こしたこと、などなど、原因が様々な角度から論じられている。

しかしながら、個人的には、殆ど論じられていないが、Interest Conflictが機能しなかったことがサブプライム問題の根本原因であり、更にその底流にはストックオプションの拡大が引き金となったと考えている。

企業のBSの右側には投資家が拠出した資金が記録される。負債は債権者、資本は株主の資金である。通常、債権者は企業経営者に対して債務返済が滞らないような安定的な経営を求めるのに対して、株主はより高いリターンを求めて経営者にビジネスリスクを高めるように要求する。従って、経営への関与が難しい債権者、例えば金融機関がローンを組む際は、財務制限条項を盛り込み、自分の利益を守るのが常である。また従業員は安定雇用を求めるのが一般的であり、余計なリスクをとりたがらないのが普通である。

ところが、ストックオプションが経営層から従業員に拡大するにつれて、従業員も業績に連動して報酬が上下することになると、企業内のベクトルが「リスクを取り短期的な利益を獲得する」方向に一致してしまった。その短期的視点に立つベクトルは、株主の抱えるベクトルとも同じであり、ひいては、主なステークホルダーの多くがリスクテイクの方向に向かうことになった。加えて、リスクを抑制したい負債側についても、返済可能性を評価し格付を付与する格付機関の収益源が、格付先の企業からの委託料とあっては、適正な格付がなされるわけがなく、企業が抱えるリスクについて目が曇らされることになった。

こうして、本来、Interest Conflictによって互いに牽制し合うべきステークホルダーたちが、短期的な利益を求めて動くようになったことが、証券化という、リスクを見えにくくして利益を生み出す打ち出の小槌を過剰に使うようになった原因なのではないだろうか。

クレジットクランチが収束して、マーケットが落ち着いた後は、適正に三つ巴の関係が成り立つような規制を実施していくことが重要だろうと考えている。


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No.78|会社生活Comment(0)Trackback()

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